日本では「タンス」として使われる以外にあまり用途がないチェストですが、上手に選べば機能面でもインテリアとしても申し分ないアイテムになります。チェストの素材としてお勧めなのは桐やラタン、また部屋の用途や色、雰囲気に合わせてサイズや色、デザインをチョイスしましょう。

日本語で「チェスト」と言えば要は「タンス」。そもそも日本ではタンスと言えば着物を収納するための桐タンス以外になく、西洋に見られるような大小様々なオシャレなものはありませんでした。そのせいか「チェスト」と聞くとプラスチック製の機能だけに特化した安っぽい物を、上から布をかけて目隠ししたりクローゼットにしまい込んで隠したりして使う家具、というイメージを持つ人も少なくありません。しかしチェストも上手に選べば部屋の雰囲気を素敵に演出してくれるインテリアの1つになり得るんです。

チェストの材質

元々チェストは衣服を収納するために作られたもの。ですから空気中の湿気を吸い取るという性質を持つ木材は、昔からチェストの素材として使用されてきました。特に先にも触れた「桐」は木材の中でもチェストにピッタリの材質。通気性に富み、湿度を一定に保つという特徴から衣類を虫や湿気から守るのに適しています。そのうえ和室は勿論、洋室や子供部屋にもなじむ優しい木の質感を持っているので、インテリアとしてもコーディネートしやすいというメリットまであります。

もう1つ、チェストの素材として人気のある木材に、「ラタン」があります。ラタンとは籐のことで、熱帯地方に生息するヤシ科の植物ですが、日本でも和家具の素材として古くから使用されてきました。ラタンは素材がしっかり織り込まれ強度が高く、見かけの繊細さとは裏腹に折れにくく丈夫ですし、そのうえとても軽いので家具としても扱いやすいという特徴があります。何よりアジアンテイストでありながら、和・洋・東南アジア風、無国籍にどんな雰囲気のインテリアにもマッチする点が魅力です。

チェストのサイズ

チェストとしては最も小さな、幅も高さも50㎝程度のコンパクトサイズは、収納力で言えばそれほどではありませんが、ベッドやソファの側に置いてランプ台の代わりにしたり映画や読書をしながらちょっと晩酌・・という時にテーブル代わりにしたりと、収納以外の用途も兼ねて気軽に使うことができます。省スペースなので細々とした雑多なものをまとめて片づけたいところにちょこんと置いておいても邪魔になりません。

幅60～80㎝、高さ70㎝程度の中サイズは、収納力もあるうえ低めのサイズならリビングなどに置いても雰囲気を壊さずインテリアとして活躍してくれます。前述のラタン素材のものも、このサイズが多いですね。収納力があるので衣類その他雑貨も収納できますし、背が低いのでそのうえの空いたスペースに写真立てを飾ったり絵や鏡をかけたりすることもできます。

幅90～110㎝、引き出しが5～7段ついて高さ100～120㎝ほどある、大きめのチェストは、一般に日本で「整理ダンス」と呼ばれているチェストです。収納力が高く普段着を沢山入れておくのに向いていますが、かなり大きく圧迫感があるため、やはり寝室などプライベートルーム向きのチェストでしょう。

チェストのデザイン

チェストは必ず壁際に付けて置くもの。ですから壁の色とマッチする色を選びましょう。圧迫感を抑えて部屋を広く見せたいならホワイトやナチュラルカラーの印象の薄いものがお勧めですし、メリハリをつけたいならソファなど他の家具と色を合わせるという方法もあります。またアンティークヨーロッパ風のチェストならクラシカルな洋室に、桐やラタンのチェストなら和室に良く似合うのですが、例えば洋風のチェストでもナチュラルテイストで圧迫感のないものなら意外に畳の上に置いても洒落た雰囲気になることがあります。わざと「外し」て遊び心を出してみるのも、小ぶりなチェストならではの楽しみ方でですね。